カクテルパーティー効果の面白いところは、このたったひとつ認識できる会話が、距離や音の大きさだけで決まるものではない、ということです。つまり、認識できるのは最も近い人の声というわけではなく、たとえ遠くのひそひそ話であっても、自分が気になっている人がしゃべっていたり、自分の名前がぽーんと耳に飛び込んできたりすれば、一瞬にして、そのひそひそ話に意識をフォーカスさせるのです。そしてその瞬間に、さっきまで自分が意識をフォーカスさせていた人の声は、たとえそれがすぐ隣の人のものであっても、雑音に聞こえてしまいます。脳はこのように、自分にとって必要なことに意識をフォーカスさせることによって、効率的に情報を処理する能力を持っています。これは仕事でも受験勉強でも重要で、現代社会に氾濫している情報の渦の中でおぼれないように生活していくためのカギとなる能力のひとつです。受験のように短時間に勝負をかける経験をする子どもには、早いうちにこの能力を身につけさせたいものです。受験に限らず、子どもが安心して歩ける世の中ではない今、危険を察知してすぐさま行動する危機回避能力のひとつとしても、役立つことでしょう。小刻みな会話によって必要な情報に意識をフォーカスすることができるようになったり、次はフォーカスしている時間をできるだけ持続できるように訓練しましょう。