豊胸材裁判

2011.03.31

法廷は、女性一般についてではなく、一人の女性について判決を下すよう求められている。例えばマリアン・ホプキンズ訴訟では、豊胸材が彼女の混合型結合組織病を引き起こすかどうかを判断しなければならなかった。ホプキンズ訴訟当時、2.0より大きい相対危険度はおろか、危険がいくらかでも増大するという証拠はどこにもなかった。だから、唯一の論理的結論は、豊胸材が彼女の病気の原因ではないということだった。しかし、陪審はそういう論理的な結論を引き出すかわりに、証拠が欠如した状態で、豊胸材がある特定の女性に病気を引き起こすかどうか判断するという、不可能なことを試みた。ホプキンズ訴訟の原告弁護士は豊胸材が原因だという証明をしようとせず、メーカーか安全性を証明したかどうかの問題にすり替えた。しかしながら、裁判所は因果関係の問題をかなり徹底して回避し、原告弁護士は目を見張るほど美事に因果関係から焦点をずらした。彼らは、豊胸材が原因で原告が病気になったという証明はしようとせずに、因果関係を推定しただけだった。そうしておいてメーカーの行動に焦点を当てた。メーカーは安全性を証明したか?怠慢だったのでは?証拠を隠しだのでは?このように焦点をずらしたことは、ほとんど注目されなかった。FDA禁止令の頃に注目されたことは、安全吐が実証されていたかどうかだったので、おそらく私達は、安全性が証明済みかどうかの角度から豊胸材論争を考えるのにすっかり慣れていた。FDAの立場として〈立証の責任〉はメーカーにあるとゲスラーが言明したのは正しかった。しかし、法廷においては〈立証の責任〉は原告にあるべきだ。では原告は豊胸材が自分の病気の原因だと証明できるものだろうか?考えられることは、FDAの決定のあと訴訟が怒濤のごとく頻発したので、判決の論拠はどれも同じだろうとごく自然に見なしてしまう傾向があったかもしれないことだ。どう説明するかはさておき、この立証責任のすり替えが盛んに行われて、それが原告弁護士の仕事を大いに楽にした。
(参考)
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